金沢大学附属小学校
稲垣 宏樹

1チームの人数を減らしてゴール型の授業をすると,チーム数が増えそれに伴いゲーム数も増えます。同時にたくさんゲームをすると,子供同士のセルフジャッジで進めないといけません。セルフジャッジで難しいのはオーバーステップです。タグを取られて3歩以上歩いたかどうか判断が難しく,また「タグ」という声が聞こえないということもあります。そこで,タグを取られた場合を含めルールを簡素化しました。
従来
自分たちのチームに応じた簡単なきまり(作戦)を生かしてゲームをする
1.試しのゲームをする
2.ルールの確認をする 3.簡単なきまり(作戦)を選んだり考えたりしてゲームをする 4.交流戦をする |
課題
「タグ」と大声を出さなくてはいけない
実践例
(実践の意図、具体的な手立て、実際の様子など)
飛沫ができるだけ飛ばないように,守備側は「タグ」と大声を出さなくてもいいようにしました。タグラグビーは他のゴール型とはルールが異なり複雑です。そのために子供同士でゲームを進めると,ジャッジでもめることがあります。
そこで,子供同士でも試合が進められるように,アバウトな部分は排除しルールを簡素化しました。攻守交代するときは,○1ボールを前に投げた時,○2ボールを落とした時,○3タッチラインから出た時,○4得点が決まった時の四つです。タグは何回取られても構わないことにしました。また,パスカットもありません。そして,タグを取られた後の再開は,全て守備側と距離を取ったフリーパスで始めることにしました。
単元の当初は,ボールを持って守備側に囲まれると,慌ててボールを投げてミスし,攻守交代していました。しかし,ルールを理解すると囲まれたら無理をせず止まってタグを取られる姿が見られました。その後フリーパスで万全の体制をとり攻撃を再開しました。タグを取られると,一旦ストップしフリーパスで再開するので,ラグビーというよりアメリカンフットボールのような感じになりました。
成果と課題
・セルフジャッジで進めることができました。
・「タグ」と大きな声を出さなくてもゲームの進行に影響がありません。 ・飛沫ができるだけとばないように「タグ」と言わなくてもいいようにしましたが,そのおかげで声が小さい子供でも抵抗なくプレーできました。 ・タグを何回取られても攻守交代はしないので,運動が苦手な子供でも落ち着いてプレーできました。囲まれて前に投げたり,誰もいない所に投げたりすることが減りました。 ・常にフリーパスで再開するので,きまり(作戦)を考えやすかったです。 ・ゲームの展開が速くないので,初めてタグラグビーをする場合には適していると思います。 |
・フリーパスでの再開は時間の猶予がある分,守備側も隊形を組んで守ることができ単元の後半は得点をするのが難しくなりました。
・攻撃側は意図的に空いたスペースを生かす工夫をしないといけなくなりました。よりタグラグビーのようなスピード感を求めるのであれば,パスの重要性を気付かせていく必要があると感じました。 |