金沢大学附属小学校
馳 裕紀子
めざしたいコミュニケーションの姿
じゃがいものゆで方について多様な考えを出し合い,共通点や相違点を確認し合う姿

今年度からゆでる調理の学習で必ず扱うじゃがいも。青菜とゆで方が異なり,水からゆでることを学習します。何度か試し調理をすることで青菜との調理の仕方の違いを理解することができるとよいのですが,コロナ禍の現在,調理実習を行うこと自体が難しい状況です。ならば既習である青菜のゆで方をベースに,2種類のゆであがったじゃがいもを見ながら調理の仕方を考え,ゆでる調理の理解につなげようと思いました。
本時のねらいと展開
じゃがいものゆで方を理解する
1前時をふり返る
2本時の課題を知る
3課題について考える(個人思考→全体)
4まとめをし,ふり返る
実践例(意図・取組)

本題材では,ガスこんろ等の調理器具の使い方を学習した後,ゆでる調理について学習します。ほうれん草のおひたしとゆでじゃがいもを取り上げ,ゆで方についての理解を深めます。コロナ禍である現在,ほうれん草のおひたしは一人調理を行い,ゆでじゃがいもは家庭で調理することにしました。ゆでじゃがいもの調理の仕方について考えたのが本時です。
ほうれん草のおひたしは子供全員が調理していることから,ほうれん草のおひたしの調理の仕方を全員で確認した後,ゆでじゃがいもについて考えることとしました。既習をていねいに確認することで,ほうれん草とじゃがいもの違いからゆで方のちがいにつながり,既習をもとに活発に考えを出し合えると考えたからです。
ほうれん草とじゃがいものゆで方の大きなちがいは,沸騰した湯からゆでるか,水からゆでるかです。ほうれん草のおひたしの調理計画を立てた際,迷いなく沸騰した湯からゆでると考えていたことから,じゃがいもを水からゆでることを考えないのではないかと考えました。そこで,水からゆでたじゃがいもと沸騰した湯からゆでたじゃがいもをあらかじめ教師が調理し,準備しておきました。
実際に授業を行うと,ほうれん草のおひたしの調理の仕方をもとに,食材を洗う,ゆでる,切る,冷ますなどの調理の仕方を考えていました。また,生活経験から皮をむく,芽を取るなども考えることができました。ほうれん草のおひたし同様,ゆでてから切るか,切ってからゆでるかという手順については既習や生活経験をもとに活発に話し合われました。しかし,予想通りじゃがいもを沸騰した湯からゆでると考え,水からゆでるという考えは出てきませんでした。そこで,丸のままの水からゆでたじゃがいもと沸騰した湯からゆでたじゃがいもを見せるとゆであがったじゃがいもの違いから,自分たちが考えた調理の仕方の何かが違うように感じ,改めて考え始めました。ゆでるとは沸騰した湯で加熱することだという考えからなかなか離れることができませんでしたが,「水からゆでたのでは…」という考えを聞いた際に「あ~なるほど」との声が上がりました。ゆで方の違いは冬休みに調理した際に実感すると思います。
成果と課題
・既習や生活経験をもとに自分の考えをもち,出し合いながら,ゆで方について考えることができました。
・調理済みのじゃがいも2種類を見ることで,多様な考えを出し合うことにつながりました。
・調理する経験の少ない子供やほうれん草のおひたしの調理の際,調理することで精いっぱいで考えながら調理することが難しかった子供にとっては,自分の考えを表出することや出された意見を理解することが難しかったようです。