金沢大学附属小学校
馳 裕紀子

2年間の小学校家庭科学習の最終題材は“ともに生きる”です。第6学年では,題材終末時に家庭での実践計画を立ててきました。洗濯の学習では家庭で何をどのように洗濯するかを,いためる学習では家庭で何をどのようにいためるのかを…。その計画を立て,再考する際,常にSDGsの視点で見直すよう促してきました。本題材では,SDGsを中心に据え,行政,企業はどのようなSDGsの取り組みをしているのかを学び,さらにこれまでの1年間の家庭実践計画をふり返った上で,今後の自分の生活について考える機会を設定しました。
従来
自分や身近な人々の生活や環境とのかかわりに気付き,快適な生活の仕方を工夫することができる。
1.身近な地域の環境について,気が付いたことを話し合う。
2.人々や環境などとのかかわりで,自分にできることを考え,よりよい生活をしようと実践する。
課題
授業時数が少ない中で,カリキュラムの内容を指導し,家庭での実践につなげていかなければならない。
実践例
(実践の意図、具体的な手立て、実際の様子など)
これまでの家庭科の学習で学んできたことをもとに,今の自分の生活について見直し,今後の自分の生活について考える機会としました。最終題材”ともに生きる”の学習内容を各題材の終末時に位置付けることで,本題材を少ない時数でより深く学習することにつながっていくと考えました。
年間を通して,題材終末時にSDGsを意識し,SDGsの目標と実際の行動を結び付けるような学習場面を設定し,学習したことを生かすための家庭実践計画を立て,実践につなげるようにしました。そして,最終題材”ともに生きる”では,行政や企業のSDGsに関する取り組みについて学んだ上で,今後の自分の生活について考えました。
今回,ファーストリテイリング社の長く使うことのできる服づくりやリサイクルで難民支援をしていること,セブン&アイホールディングスのペットボトルの完全循環などの企業の取り組みについて学んだ。企業の活動について学んだことで,自分の力で考えて自分で行動することは難しくても,企業に協力することでSDGsの目標を達成することにつながっていくことを感じることができていた。そのため,今後の自分の生活の仕方を”着なくなった服はリサイクルに出す”や”ペットボトルは捨てないで分別して資源ごみに出す”など具体的に考えることができていた。
【使用資料】
・SDGs取組事例(東京書籍) https://sdgs.edutown.jp/action/
・IMAGINE KANAZAWA 2030 リーフレット(日本語)(金沢市,金沢青年会議所,国連大学サステイナビリティ高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット) https://www4.city.kanazawa.lg.jp/data/open/cnt/3/26813/1/kanazawa-sdgs_leaflet_jp.pdf?20210115171829
・持続可能な社会のために ナマケモノにもできるアクション・ガイド(国連広報センター) https://www.unic.or.jp/files/sdgs_201901.pdf
成果と課題
・SDGsを意識した家庭での生活の仕方を具体的に考えることができました。
・教科の枠にとらわれず,既習や生活経験をもとに広く考えることができました。
・SDGsを意識した生活は自分たち市民だけが取り組んでいるのではなく,社会全体で取り組んでいることに気付きました。
・ちょっとした行為もSDGsの目標達成につながっていくことに気付きました。
・行政の取り組みについての資料が子どもにとって難しいので,子どもが分かりやすい資料を準備する必要がありました。