加賀友禅のこと、もっと知りたい! 誰に何を聞こうかな

金沢の伝統工芸

めざしたいコミュニケーションの姿

[学年] (Phase3)考えの共通点や相違点を確認しあう姿
[単元]  (Phase1) 要点を明確にして端的に伝える・話の要点を意識して聞く姿
     (Phase2) 多様な考えを出し合い,共通点や相違点を理解して聞く姿

本単元は、年間を通して加賀友禅を題材として、問題解決型学習に取り組んでいきます。単元の構成は大きく4つです。第一次(本時)は「題材(加賀友禅)との出会い」で、加賀友禅の実物に触れ、その技法や質感、歴史や文化に興味を持ち、さらにどんな学習を進めていきたいかの計画を立てます。
第二次「課題の発見」で加賀友禅が現在抱えている課題を知り、第三次は「課題解決」として社会に対して自分たちに出来ることを計画・実行していきます。第四次は「発信・まとめ」とし、一年間の学びをふり返ります。本時では、これまでにインターネットや資料集などで調べたことをもとに、加賀友禅についてさらに詳しく知りたいと思ったことをクラスで出し合い、分類整理をすることで今後の学習計画を立てていきます。

本時のねらいと展開

ねらい

加賀友禅に携わる3人の協力者に対して、自分たちの疑問を誰に尋ねれば良いかを分類して、内容を整理することができる。

展開

① 課題をたしかめる
② 小グループでの話合う「コミュニケーション場面」
③ 全体で話合いを整理する
④ 学習をまとめる
⑤ 学習について振り返る

めざすコミュニケーションの姿に迫るための手立て

★まなボード上でベン図に付箋を貼らせることで、「班の4人で確かめながら貼る」という手順にそって話合いを進められるようにする。
★シンキングツールとしてベン図を用いることで、同じ質問を2人あるいは3人にしたいという意見を位置づけられるようにする。

実践例(意図・取組)

本時では,加賀友禅について基礎的な学習をした後,一人一人がさらに深く知りたいと思った疑問を,加賀友禅に関わる仕事をしている3人のゲストティーチャー(友禅作家・呉服問屋・観光会館)のうちの誰に質問したら良いかを考えました。学習を教師の立てた年間計画をなぞるように進めるのではなく、児童が「知りたい」「次はこうしたい」と問題解決に向けて主体的に学習計画を更新しながら探究していくため、疑問「?」を分類・整理する時間を設定しました。  
児童は、自分の考えたアイディアを一つにつき一枚の付箋に書いて用意し,4人の児童で一つのベン図に考えを整理しながら貼り分ける活動をしました。ベン図に貼り付けることで,2人あるいは3人のゲストティーチャーに共通して質問したいことを,円の重なる部分に位置付けていきました。また,仲間分けをする必然性を生むために,質問を「①その人に聞かないとわからないこと」「②自分で調べられるが,直接聞くとさらに深く知ることができること」「③自分で調べられて,確認したいこと」の3項目に分け,①から優先的に聞いていくために,グループで出た考えを整理していきました。児童は、「作家さんには、技法ひとつひとつの説明よりも、自分のこだわりを聞きたいね」「問屋さんは、お客さんと接していて、どんな喜びがあるのか聞きたい」などと質問項目を整理していくうちに、ゲストティーチャーには、「自分自身の苦労・喜びや工夫など、知識ではなくて経験で感じたこと」を聞くと、学びが深まることに気づいていました。

成果と課題

成果

・ベン図やピラミッドチャートなどのシンキングツールを活用することで、グループで話し合う時に考えを分類・整理する姿が見られました。
・「用意した付箋を貼る」という動作によって、特定のメンバーのみで話を進めずに、全員に確認したり、発表を促したりする姿が見られました。

課題

・ベン図で整理できない意見が出たグループがあり、今後は自分達に合ったシンキングツールを主体的に選択していけるようにしていく必要性を感じました。
・付箋を出し合う作業に終始するグループがありました。マニュアル通りでなく、臨機応変に目的から逆算して司会進行できる姿を目指していきたいです。

学びのバトン

①岡本(総合)→ 次は、②宮崎(理科)実践になります。
・話合いの目的を達成するために、話し合いの流れを提示したり、グループの構成人数やグルーピングを工夫したりする。