金沢市のみりょくとは?

市の様子

めざしたいコミュニケーションの姿

[学年] (Phase3) 共通点や相違点を確認し合う姿
[単元] (Phase2) 相手の話を受けて質問する姿
   (Phase3) グループで多様な考えを出し合う姿

 道徳科の余川実践から,話合いの目的を明確にすること,型を与え,よい質問を児童に還元し,質問のレパートリーを広げることで臨機応変に対応できるようにすることの2つのバトンを引き継ぎました。
 本時では,中央小校区(金沢市の中心部)や安原小校区(農業や工業が盛んな地域),医王山小中校区(金沢市の山間部)など,学んできた市の特色について色々な人に紹介しようという課題を設定しました。まずは,どのような人に紹介できそうかを全体で確認し,班ごとに誰に魅力を紹介するかを決め,相手意識をもたせました。その後,決めた相手に金沢の魅力を紹介するとしたらどこを紹介するかについて,これまでの学びを生かしながら個人で考えをもち,話合いの活動へと展開していきました。本時の終末では,さらに多様な考えをもてるように,紹介する相手を変えて,相手に合った魅力を紹介する時間を設定しました。

本時のねらいと展開

ねらい

市の色々な場所の特色やよさを比較し,魅力を紹介する相手に応じて,適したところを選んで市の特色について表現しようとしている。

展開
  • それぞれの地域の特色について整理した表を通して,学習の課題をつかむ。
  • 金沢市の魅力を紹介する相手を決め,自分の考えをもつ。
  • 質問で相手の考えを引き出すことを意識して,ペアやグループで交流する。「コミュニケーション場面」
  • 学習のまとめとふりかえりをする。

めざすコミュニケーションの姿に迫るための手立て

★「観光客」や「2年生」など,誰に金沢の魅力を伝えるかの相手意識をもたせる。
★ 自分の考えの理由を書く欄を意図的に設けない,班での話し合いの前後で自分の考えの変容が分かる記述欄を設けるなどワークシートに工夫をする。

実践例(意図・取組)

 本時の班での話合い場面において,観光客相手にどこを魅力として紹介するかを話し合っていた班では,「医王山小中校区」という場所のみの発言を受けて,2人の児童が「どうしてですか?」と質問していました。これはワークシートに初めから理由を記入し発表していたら生まれなかった質問です。また,自分の行きたいところを中心に考えを話していた児童に対しては,「どうしてそこを選んだの?自分が行きたいだけじゃないですか?」と質問する姿も見られました。相手意識をしっかりともたせておくことが,質問を生み,活発な話合いにつながっていくと考えられます。
 一方,自分中心に考えを書いていた児童は,友達の質問を受けて自分の現在の状態に気付くことができていました。そして,改めて相手を意識して友達の考えに耳を傾けることで,「自分」から「観光客」相手に考えを変容することができていました。それがワークシートにも表れており,児童の考えを客観的にも見ることができました。
 評価に関しては,教師と児童との間で大きなズレはありませんでしたが,友達の考えをそのまま取り入れて満足している児童が多く,最終的に課題に適していない答えに至っている児童もいました。友達や自分の考えが課題と合っているかまで児童自身で吟味する力が必要だと言えます。

成果と課題

成果

・相手意識をもたせたり,ワークシートに理由を書く欄を意図的に設けなかったりしたことで,話合いの中で自然と質問し合う姿が見られました。

・相手意識や変容を読み取りやすくするワークシートは,多様な考えを出し合い,自己の変容を自覚することにつながりました。

課題

・友達との交流において,話合いの目的やねらいを意識しながらよりよい考えにしたいという思いの児童が少なく,多くの児童は友達の考えをそのまま取り入れて満足という認識だった点に課題が残りました。

学びのバトン

[3年生バトン]  
③天池(社会)→ 次は,④森田(理科)実践になります。
・話し合いの目的を明確にする。
・根拠を聞いた後,受け止めるだけでなく疑って,根拠の根拠を質問する。
・話合いの型を活用し,キーフレーズから話を広げていく。