学校のスキをたくさん見つけよう!~ウエビング法を使って~

1年・道徳科・「たのしい がっこう」 C よりよい学校生活,集団生活の充実 

めざしたいコミュニケーションの姿

[学年](Phase2)相手の話を受けて話す姿,共通点や相違点を聞く姿
[単元] (Phase1) 自分の考えを相手に話す姿,相手の話を聞く姿

 長谷川実践で有効であった「具体物を用いながら話す」というコミュニケーション力を転移させていくために,思考ツールを活用しながら話し合うペア学習を行います。また,長谷川実践から,低学年の発達段階では,自分自身を客観的にとらえることが難しいという課題がみられたため、自分の考えを相手に話す姿や相手の話を聞く姿を児童が具体的に理解するために,コミュニケーションの場面を動画や写真におさめることで視覚化し,全体に広めるようにします。
 本時では,主人公の小学校へ入学することに不安を感じていた気持ちや,友達に優しくしてもらい学校に愛着をもった気持ちについて考えます。その後,学校の中での自分が好きなもの・ことについてウエビング法という思考ツールを活用しながらペアで話し合います。

本時のねらいと展開

ねらい

みんなが助け合うと楽しい学校生活を送ることができることが分かり,自分もみんなのためにできることを頑張ってやろうとする態度を養う。

展開

①登場人物の気持ちについて考える
②ペアで学校の好きなものについて話し合う 「コミュニケーション場面」
③ふりかえりで授業の感想やこれからのことなどについて考える

めざすコミュニケーションの姿に迫るための手立て

★学校の中での好きなもの・ことについてウエビング法を活用しながらペアで話し合う。
★望ましいと思われるコミュニケーションの姿の場面を動画や写真などで視覚化し,全体共有する。

実践例(意図・取組)

 学校の中での好きなもの・ことについてペアで話し合うと,「何が好き?」「休み時間は何しているの?」と児童同士で質問しながら話題を広げている姿や「いいね!」「僕も好きだよ!」と相手の考えを受容しながら会話を続ける姿が見られました。
 また,ウエビング法を活用すると,「べんきょう」という項目から「たいいく」や「さんすう」などの項目が話し合いをする中で付け加えられていました。このように,ウエビング法を活用することで,学校で好きなもの・ことを勉強や休み時間,友達のことなど幅広く考えることができました。ペア学習を8分間行いましたが,会話が途切れることなく自分の考えを伝え広げていく姿が多くのペアで見られました。
 児童はふりかえりに,「わたしもがっこうがすきだよ。どうしてかというとべんきょうがすきだからだよ。」や「つきゆびをしているけど,みんなのためにしょしゃがかりとしてがんばるぞ。」と書き,学校への愛着へ気付いたりみんなのために自分ができることを考えたりしていました。
 望ましいと思われるコミュニケーションの場面を動画や写真などで視覚化し,掲示を残したことで,本時では,相手の話に「いいね。」と言いながら手でしぐさをする姿や相手の話にうなずきながら反応する姿が見られました。

成果と課題

成果

・思考ツールを用いることは,8分間という1年生にとっては比較的長時間のペア学習も行うことができました。
・話の聞き方や反応の仕方について共通理解したことは,児童だけで行うペア学習でも活用でき,より円滑により活発に話合いを行うことができました。

課題

・話合いが活発に行われていないペアや話合いよりもウエビング法を書くことに意識が向かうペアもあったため,今後は思考ツールを用いず児童だけで話合いができるようにすることも考えていきます。
・コミュニケーションの評価に関しては教師と児童の評価のズレがあるという課題が依然として見られました。低学年の発達段階では,自分自身を客観的にとらえることが難しいため,ペア学習の相手や教師からの他者評価も伝えることで少しずつ自己を客観視できるようになると考えます。
・ルーブリック評価の尺度3と4の姿の境界線が曖昧なため,各々の具体的な姿を例示し共通理解を図ることで,尺度の違いを明確にしていきます。

学びのバトン

②片桐(道徳)→ 次は、③角谷(生活)実践になります。
・思考ツールを使わずに、ペア学習を行う。
・話合いの具体的な良い姿を他教科や全体の場で共有することを継続して行う。