「言葉の意味が分かること」筆者が読み手を共感・納得させる工夫は?

筆者の考えに共感・納得,それとも疑問 自分の考えをもち友達と交流しよう「見立てる」「言葉の意味が分かること」

めざしたいコミュニケーションの姿

[学年] (Phase3)多様な考えを出し合う姿
[単元]  (Phase2) 根拠をもち,自分の考えを相手に話す姿
     (Phase2) 共感したり理解したりして聞く姿

本時では,課題<筆者が読み手を「共感・納得」させるために,どんな工夫をしているのか>について,事前に考えたことを基にグループ活動で話し合います。その際,理科横川実践の根拠を基に話すことを受けて,叙述を根拠に自分の考えを話し合います。また,国語科吉木実践の視覚化を受けて,グループ活動で話し合う際は,全文シートを挟んだボードを用いて根拠や考えを視覚化することにより,お互いの考えを明確にして学び合っていきます。そうすることで,自分が考えていなかった考えにふれたり,自分の考えと比較したりすることができます。深めの発問では,事前に考えをもつことはなく,その場で考えたことをグループで話し合います。こうして話し合っていく中で,「中」で「事例」を挙げたり,事例を読み手にとって分かりやすい順に挙げていたり,「原因と結果」の関係で記述していたりしているところを見つけていきます。

本時のねらいと展開

ねらい

原因と結果など情報と情報との関係について理解することができる。

展開

①「見立てる」で野口さんが読み手を「共感・納得」させるためにどんな工夫をしていたかを想起し,本時の課題をつかむ。

<今井さんは読み手を「共感・納得」させるために,どんな工夫をしているか>

②課題に対する自分の考えを出し合い,考えを広げる。(グループ学習)「コミュニケーション場面」

③深めの発問についてグループで考え,考えを深める。(グループ学習)「コミュニケーション場面」

「どうして「中2」では,小さい子供の事例から英語や中国語,韓国語の事例の順番で書かれているのか」

④本時をまとめ,ふりかえりをする。

めざすコミュニケーションの姿に迫るための手立て

★工夫を表す叙述に線を引き,どんな工夫なのか視覚的に児童が把握できるようにするため,全文シートを挟んだボードを活用する。
★叙述を基に筆者の工夫を話し合うようにするため,話型を提示する。
★反応を促すようにするため反応の型を提示し,どの教科においても反応ができたかどうか,毎日終わりの会でふりかえりをする。

実践例(意図・取組)

 本時では,第二教材「言葉の意味が分かること」において,筆者の今井さんが読み手を「共感・納得」させるためにどんな工夫を凝らしているのか,事前に自分の考えをもち,本時で話合い活動を行いました(本時の展開②)。あるグループでは,根拠を話すように示した話型をもとに次のような話合いの姿が見られました。
 話型どおりに話しているので話型は有効でしたが,自分の考えを一人一人が述べているだけで,お互いの考えの理解を深めるような話合いには至らないグループがありました。
 しかし,他のグループでは,別の姿が見られました。ある児童が話型どおりに根拠を示して話しましたが,どんな事例なのか具体的に述べていませんでした。そこで,他の児童が,「どういう例ですか。」と尋ねました。この質問により,質問された児童は事例を具体的に述べることができました。続けて,「どういうことが言いたいのですか。」と尋ねられました。それを受け,事例が「言葉の意味に広がりがある」と述べていました。このグループは,質問することで,足りないところを補ったり,理解を深めたりしていました。
 また,話合いにおいては,「なるほど」や「はーん」と,友達の意見に対して共感的な反応をしていました。中には,友達の考えを聞き,それに対して復唱して確認をしている児童もいました。
 本時の展開③深めの発問では,事前に考えたことではなく,その場で考えたことをお互いに出し合いました。事前に自分の考えをもてていなかったにもかかわらず,クラスの3分の2の児童が,自分の考えを述べることができました。

成果と課題

成果

・話型を提示したことにより,根拠を基に話す姿が見られました。

・共感的な反応が概ね身に付いてきました。

課題

・話型は有効であるものの,自分の考えを一人一人が述べているだけで,お互いの考えの理解を深めるような話合いには至らなかったグループも見られたことから,モデルとなる話合いができたグループの動画を見せる必要があると考えました。

学びのバトン

③中山(国語)→ 次は、④山口(算数)実践になります。
・ 話型の提示を徐々に減らし,話し手の内容が不十分だったり,友達の考えの理解を深めたりしたい場合は,聞き手やファシリテーター役が適宜質問する等,話し手・聞き手が双方向で話し合うように育成していきます。
・ 友達の考えとの共通点や相違点を理解して聞く等,聞くレベルを上げていきます。