金沢大学附属小学校
徳田典子
めざしたいコミュニケーションの姿
アレンジしたドラム演奏を互いに聴き合いながら,それぞれのグループが表したい表現が生かされているかを伝え合う姿

この題材では,ドラムセットを使ってリズムパートのアレンジをさせました。また,楽曲は鑑賞用教材として収録されていたナット・キング・コールの英語版を使用しました。また,ここでは,グループ(8~9人)を主体として協働学習を設定しました。6年生がアレンジして奏でるスウィングジャズ「L-O-V-E」は,柔軟な発想が最大限に発揮され,純粋でいきいきとしたドラム演奏となりました。
本時のねらいと展開
ドラムセットを使って,グループの思いや意図にふさわしい表現の工夫をすることができる
1.前時までの表現を想起する
2.アレンジしたドラム演奏を聴き合う
3. 次時の課題を確認する
実践例(意図・取組)
本実践では,初めにドラムセットを使って,スイングジャズの特徴を表現するための技能を習得させました。その上で,子供は教科書に提示された打楽器パートを参考にし,ドラムセットを使う打楽器パートのアレンジをしました。その後,一人一人の子供が工夫した表現を聴き合ったことで,ドラムセットを使った表現に対する発想を広げる体験となりました。次に,鑑賞教材に収録されているナット・キング・コールの「L-O-V-E」の楽曲を使用し,グループでアレンジさせることにしました。グループ学習では,これまでに既習した技能や表現に対する発想などを生かし,グループとしてのドラム演奏をまとめました。 また,本時ではそれぞれのグループの表現内容がより伝わるような「○○ L-O-V-E」というオリジナルのタイトルを設定させ,ドラム演奏の鑑賞を通して,タイトルに込めた演奏表現を解き明かすという展開を実施しました。
成果と課題
・一人一人の子供が自分なりの表現でスウィングジャズのドラム演奏を楽しんでいたことです。
・自分の考えた表現をドラムセットで試みたことは,協働学習において,話し合いの土台が揃うことにもつながりまし た。
・各グループのオリジナルタイトルには,グループの表現したい思いが表れていることもあり,より愛着をもった表現の工夫をしていました。
・本時では,各グループの思いや意図を解き明かすために,工夫した器楽表現を聴き取り,自分の感じたことなどを積極的に伝え合うことで活発な議論となりました。
・子供は学習過程全般において,音楽を聴いて身体を動かし,学習を楽しんでいた姿がとても印象に残りました。このスウィングジャズの楽曲のもつグルーヴ感やスウィング感には,楽しさや体を動かしたくなる感覚があるということがより実感させられた実践となりました。
・器楽学習では,個々の子供にいかに演奏量を与えて技能を習得させるかが肝心だと考えます。そのためには,場の設定やタイムマネージメントなどを細やかに考え,学習を保障することが大事と感じました。
・教科書に提示されている教材の器楽合奏は,コロナ禍という制限もあり,そのまま実施することは難しいと判断しました。よって,今回は打楽器パートに着目した学習構成としましたが,様々なアプローチによって新たな学習展開を構成する必要性があると思います。
・本実践では,子供がタブレットで自分のグループの表現を録画し,客観的に表現を見つめることで,再構成をする姿が多く見られました。また,本校はデジタル教材やタブレットの活用など,子供が主体的に学習する環境が整っていることに改めて感謝しました。今後は,より豊かな表現を目指すための機器使用のあり方を考えていきます。