考察ってどうするの?こうするの!

もののとけ方

めざしたいコミュニケーションの姿

多数のメンバー間で最適解を見出そうとする姿

「結果をもとに考察する」ということを一人一人がきちんと身につけるために,「型」に沿って個人で考察した後,グループでも話し合いを通して考察を深めていきます。一人一人の溶かす食塩の量,溶かす水の量を変化させますが,段階的な考察で整理していくことで「物が溶ける前後での重さが変わらない」ことについて,より深い理解を目指しました。

本時のねらいと展開

ねらい

水に溶けたものはなくならず,全て水の中に存在していることを実験前後の全体の重さを基に考えることができる。(思考力,判断力,表現力等)

展開

1.課題を確認する
2.実験方法を確認する
3.班ごとに実験し,結果をもとに個人考察をする
4.班ごとの結果を比較しグループで考察する
5.グループ考察をもとに,課題についてまとめる

実践例(意図・取組)

本実践では,個人の考察を基にグループ考察を行うことで,グループ内でのコミュニケーションを通して子供が課題に対する最適解(本時では「溶けたものはなくならないのか」に対する答え)を求めることをねらいとしました。
 溶けたものが無くなったのどうかは「溶かす前と溶かした後で重さが変わるかどうか」で調べます。また,実験は「班ごとに異なる溶質(食塩)の量を溶かす」「グループ内で個人ごとに溶媒(水)の量を変える」ことにしました。これにより,グループ考察では「水の量に関係なく溶かしたものはなくならない」ことが,全体での考察で「溶かすものの量に関係なく溶かしたものはなくならない」ことが分かり,まとめとして「どんな水の量,溶かすものの量であっても溶かしたものは絶対になくならない」という結論が出ることを期待しました。
 考察においては,子供に「考察の基本の型」として「①結果を確かめる(共有する)」「②結果から言える事を整理する」「③課題に対する結論をまとめる」の段階を伝え,型に沿って考察を促しました。
 型に沿って考察することで,考察することに苦手意識のある子供でも結果をもとに話し合うことができていたように感じられました。一方で,子供にとっては水の量も食塩の量もすべてがバラバラの状態であったことに加え,電子てんびんによる誤差で溶かす前と後の重さが「同じにならなかった」ものも多く見られました。そのため,子供が話し合いの視点を十分に焦点化できず,「どんな水の量,溶かすものの量であっても溶かしたものは絶対になくならない」という結論までたどり着くことが非常に難しく感じました。子供の実態や機器の現状をふまえ,実験方法はよりシンプルなものでもよかったのではないかと思いました。

成果と課題

成果

・グループ考察について「基本の型」に沿って話し合うことで,客観的な視点で考察をすることができました。
・結果についてじっくり考えることで,器具による測定誤差についても考えを広げることができました。

課題

・溶媒も溶質も量を変えたことが,子供の混乱につながってしまい,話し合いの視点を十分に焦点化することができませんでした。溶媒の量を同じにし,溶質の量を班ごとに変える方が溶けた量と重さの増減に考えが絞られ,よりよい話し合いになったと思います。