金沢大学人間社会学域学校教育学類附属小学校の調査研究によせて

金沢学院大学文学部教育学科  多田孝志

時代の大転換期の教育は、第三期に入ったと認識する。⒛世紀後半は、グローバル化に対応した教育の黎明期であり、21世紀初頭は、ESDやSDlsに象徴される新たな教育の普及・発展の時期であった。
しかして、現在は、あるべき論から事実として新たな時代に対応した人間を育成する時期を迎えたのである・
折しも、2020年10月、中教審答申は、2020年代を通じて実現すべき「令和の日本型学校教育」の姿において、下記を提示した。
<学習の個性化>として、「基礎的・基本的な知識・技能や情報活用能力等の学習の基盤となる資質・能力等を土台として、専門性の高い教師による個々の子供に応じた学習活動の提供自ら学習を調整するなどしながら、その子供ならでの課題の設定、子供自身による情報の情報・整理・分析、まとめ、表現を行う等、主体的に学習を最適化することを教師が促す」
さらに、<義務教育>の方向として「先端技術の活用等による資質・能力の確実な育成、一人一人の興味・関心に応じ意欲を高めやりたいことを深められる学びの提供学校ならではの協働的な学び合い。多様な他者と協働した探究的な学びをなどを通じ、地域の構成員のひとりとしての意識の育成。生活や学びにわたる課題(虐待等)の早期発見等による安全・安心な学び」
この学びの方向を教育実践が事実として具現するための方途について提言したい。まず、これまでの教育と新たな時代の教育との違いについて若干の考察をしておきたい。
教育の大転換の本質を「間」のとらえ方に求めたい。教育とは、自己・他者・多様な生命体、事象との関りによって構成される。この関りの「間」のとらえ方、活用の仕方が重要となる。
新たな時代の教育における「間」を考察するキーワードは多様性との関りと世界の冷厳な現実への対応であろう。すなわち、学びの世界を過去・現代・未来に広げる、世界を視野に思考する、多様な他者、生命体と事象との関わりを重視すること、地域や地球社会の課題に当事者意識をもち、取り組むことなどは、新たな時代の教育の課題である。
このことを具現化する学びの創造が求められる。その手がかりをかつて国立教育政策研究所・JICAの人々論議を重ね、やがて提唱した「21世紀型能力」に求めることとする。21世紀型能力は、成長的思考態度によるメタ学習(Meta-Learning) を構成する要素として、知識・スキル、人間性の基盤を提示した。
21世紀型学習者としての知識・スキル・人間性の基礎の内容を下記に例示する。
知識 (Knowledge):学際的知識,伝統的知識、現代的知識、現場性と身体性による体験を包含する広義な知的教養
スキル (Skills): 4C、すなわち創造性(Creativity),批判的思考(Critical Thinking)コミュニケーション・対話(Communication)、協働(Collaboration)のスキル
人間性(Character)の基盤:吸収力,好奇心 柔軟さ 探究心 自己決定力、勇気・冒険心,レジリエンス,粘り強さなど。
本附属小学校は、全国各地の実践研究を集積・分類する調査に取り掛かった。この調査研究が、21世紀型学習者を育成するための多くの具体的な手掛かりを明らかにしていくことを期待している。