第3回「1人1台端末が文房具になるには」

WeCREATE(C領域)GIGAスクール構想領域・連載
中川⼀史 放送⼤学教授・博⼠(情報学)

またまた第2回から間があきましたね。いけません。

第2回の最後に、文部科学省が2020年に公開した教育の情報化に関する手引(追補版)に「(略)これからの学びにとっては、ICTはマストアイテムであり、ICT環境は鉛筆やノート等の文房具と同様に教育現場において不可欠なものとなっていることを強く認識(略)」(下線、筆者)と書いてある、という話までしました。占有での1人1台端末ですから、いつも手元にはある状況にはありました。しかし、物理的にはそうですが、だからと言って、すぐに文房具のようになるかというと、そうではないと思います。

では、1人1台端末が文房具になるための条件は何でしょうか。私は2つあると思っています。

1つは、「あまり制限をかけすぎないこと」ことです。自治体ベースでいうと、情報通信ネットワークの制限があります。また、学校ベースでは、ルールの制限があります。これらがあまり強すぎると、「だったら、使わない」ということになってしまいます。もちろん、何かあったらどうするの?と心配するむきもあるでしょう。それは真っ当なことだとは思いますが、できるだけ何か起こった時にそれを取り上げ、学びの素材にしてほしいと思います。情報モラルの授業のようにまとまった時間に実施することも大切ですが、一方、毎日使う中でいつ何が起こるかわかりません。そのタイミングを逃さずに少しの時間でも良いので考える機会を保証するのがベストだと考えます。それでも、慎重にならざるを得ないという意見があるのも承知しています。だったら、はじめはかっちりしたルールになっていても、だんだん制限をゆるくしていくような段階を見通してみてはいかがでしょうか。実態に応じて、柔軟に対応できるよう教務主任や情報リーダーの先生を中心に制限緩和の段階化を進めたいものです。

 もう1つは、「日常的な活用を推進すること」です。これまで、学校でのICT活用という意味では、多くの場合、「授業での効果的な活用」(図1の①部分)のみを追究してきました。

しかし、今後、占有の1人1台端末が個々の児童生徒あるということは、「授業での日常的な活用」「授業以外での効果的な活用」「授業以外での日常的な活用」という、②③④の場面での活用も視野に入れていく必要があります。これら(②③④の場面での活用)を充実させることで、それが「授業での効果的な活用」に返ってくるものと思います。
さて、皆さんはどのような②③④の場面での活用を促しますか?

図1 1人1台端末活用のシチュエーション
(参考資料)
文部科学省(2020)教育の情報化に関する手引(追補版)
https://www.mext.go.jp/content/20200622-mxt_jogai01-000003284_001.pdf
(2021,01,31取得)

イラスト:石橋音々