発芽にいるの? いらないの?

植物の発芽と成長

めざしたいコミュニケーションの姿

(Phase2) 筋道立てて伝える姿
(Phase2) 共感したり理解したりして聞く姿

 本時では,まず前時に各自が「自分が必要だと思う発芽条件」で発芽させた実験結果を持ち寄ります。そして班の中で,その結果をもとに「発芽になくてよいもの」について考えました。話合いではワークシートを活用し,各自の実験方法と結果を視覚化し、整理しながら話せるようにしました。その後,各班で話し合ったことを全体で整理し,「どのような視点があれば」必要ないものが分かるかを話し合い,条件制御の必要性に気付くようにしました。ふりかえりでは自分の話合いの仕方をふり返り,自己の変容は自由記述で表現することにしました。

本時のねらいと展開

ねらい

発芽に必要な条件を調べるには,条件を整理し,比較しながら実験することが必要だと気づくことができる。

展開

1.課題を確かめ、実験結果から自分の考えをもつ
<発芽に必要ないものは何か>

2.グループで話合い、考えをまとめる「コミュニケーション場面」

3.全体で話合いを整理する

4.学習をまとめる

めざすコミュニケーションの姿に迫るための手立て

あえて「必要のないもの」について話し合うことで,自分と友達の実験結果を比較し、必要な条件について考えられるようにする。
根拠を示して話し合えるように個々の実験結果を表にまとめ、「必要」「必要ない」「わからない(判断できない)」で判断させる

実践例(意図・取組)

 自分の実験結果をもとに「発芽に必要のないもの」について話し合うことで、話し合う必要性をもたせました。「発芽に必要なもの」では、児童は「発芽した=自分の与えた条件が必要だ」と考えてしまいますが、「必要のないもの」の場合は友達の結果と比べなくては見つけることができません。また、話合い場面では一人一人の結果を整理しながら話し合えるように、各自が与えた条件と結果を表でまとめるようにしました。そうすることで、児童は「共通してあげているもの」や「自分は与えていないのに発芽しているもの」に目をつけて話し合う姿が見られました。この姿から、「発芽に必要のないもの」について話し合うことや表に整理して話し合うことには価値があると思われます。一方で、整理した表を「どのように読みとってよいのかわからない」児童も見られました。よりよい話合いをするためにも表を正しく読みとる、結果を科学的に考えるなどといった「考える素地となる教科の力」の必要性を感じました。
 ふりかえりは一枚のシートにまとめ、毎回のふり返りを俯瞰して見ることができるようにしました。また、自由記述は任意のタイミングで書くこととし「ルーブリックの評価が変わった時」に書くことにしました。そうすることで児童は自由記述に「自分の変容した点に着目して」理由を書く姿が見られました。また振り返りが一枚にまとまっている事で、児童は自分の変容を自覚しやすかったようです。つまり、自身の変容が一枚で俯瞰できたり、変容を意識して記述させたりすることが大切であると思いました。一方で、自己評価だと客観性に欠ける一面もあるので、グループで話合いながらふり返るなど複数の目でふり返る機会を作ることも必要だと思いました。

成果と課題

成果

・話合いの必然性を生み出すことや結果を表にまとめながら話し合うことで活発に話合う姿が見られました。

・自己評価を継続的に行い、それを俯瞰できるようにすることで児童は自分の話合い方をふり返り、自己の変容を自覚することができました。

課題

・コミュニケーション力を育成するためにも、科学的に考える力など、考えの素地となる教科の力をしっかりと伸ばすことの必要性を感じました。

・自己評価だけでは教師から見た評価とのズレが大きい児童もいました。グループで話合いながらふり返るなど、客観的にふり返るようにする必要がありました。

学びのバトン

[5年生バトン]  ①横川(理科)→ 次は、②吉木(国語)実践になります。
         ・グループで話合いについてふり返る機会を作り、教師と児童の評価のズレを減らす。